事業の趣旨・目的

ⅰ)事業の趣旨・目的

人生100年時代において、介護は国民の多くが直面する現実かつ喫緊の課題である。介護離職ゼロに向け、政府は2020年代初頭までに50万人分の介護の受け皿を整備することとしているが、最大の課題は「介護人材の確保」である。国は介護人材確保に向け、①介護職員の処遇改善、②多様な人材の確保・育成、③離職防止・定着促進・生産性向上、④介護職の魅力向上、⑤外国人材の受入環境整備等、総合的な対策に取組むとしている。  本事業で開発するリカレントプログラム「生産性向上・人手不足解消に資する介護人材育成プログラム」は、介護職員を外国人材指導力及びICT活用力を持つ多機能職業人材へと成長させるものである。開発プログラムにより新たな介護の担い手として期待される外国人材がスムーズに参入し、やさしい日本語による指導及びコミュニケーション活性化により外国人材の職場定着を促進する。また、ICT活用力向上により外国人材に限らず日本人も負担に感じる介護記録作業を軽減し、生産性を向上させ、介護サービスの質向上に繋がるという好循環を生み出していく。さらに、開発プログラムを全国普及することで、介護業界の生産性向上、人材不足解消に寄与していく。

ⅱ)学習ターゲット、目指すべき人材像

学習ターゲット:入職5年程度の介護職リーダー、介護職リーダー候補生

介護職員に外国人材指導力及びICT活用力を持つ多機能職業人材へと成長させる。


当該教育カリキュラム・プログラムが必要な背景について

1)現状と課題

◆介護人材不足と介護ニーズの高まり

 厚生労働省が発表した「第7期(2018~2020年度)介護保険事業計画」をもとに「将来、必要となる介護人材」の数を推計すると、2020年度には216万人、2025年度には245万人となる。2016年度の190万人に加え、2020年度末までに26万人、2025年度末までに55万人、年間6万人程度の介護人材を新たに確保する必要がある。2025年には団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となるため、介護ニーズが今後、飛躍的に増加するのは自明である。

求められるニーズに対応し、介護人材不足を解消するには、「新たな人材確保」が必要であり、今、外国人を介護職員として採用する介護事業所が増えている。外国人介護人材の受入れに関して国は、2008 年の「経済連携協定(EPA)」から始まり、2016 年の在留資格「介護」の創設、2017 年 の技能実習制度による「介護」職種追加、2019 年在留資格「特定技能」の創設と、様々な施策が順次開始されており、外国人介護人材の更なる活躍が期待されている。

◆外国人介護人材を活用する上での課題

 平成30年度「介護労働実態調査」(公益財団法人 介護労働安定センター)によると、外国人介護人材の受入れをしている事業所は全体の2.6%(受入れ事業所数233/全体事業所数9,040)と少数だった。受入れ事業所を増やすためには、受入側の不安払拭や体制整備への助言、外国人介護人材活用の有用性を開発プログラムに盛り込まなければならない。開発するリカレントプログラムに当校で介護を学ぶ留学生と受講生(介護職員)との接触機会を設けることで、外国人介護人材活用の可能性を理解いただく機会とする。

 また、平成30年度「介護労働実態調査」より、外国人介護人材の受入れをしている事業所が「外国人労働者を活用する上での課題」(複数回答)として、「日本語文章力・読解力の不足等により、介護記録の作成に支障がある」が70.4%と一番多く、「利用者等との会話等における意思疎通に支障がある」が52.4%、「日本人職員との会話等における意思疎通に支障がある」が51.9%と続く。外国人介護人材への日本語指導は「聞く・話す」の指導にとどまらず、介護記録作成に繋がる「読む・書く」の指導も進めていかなければならない。

◆介護業界のICT活用状況と課題

 介護業界の人材確保と同時に、業務効率化も必要不可欠である。労働力人口が減少していくなかで、増え続ける介護ニーズに対応するには、介護業務を効率化しなければならない。介護の現場では、いまだに介護記録が手書きで行われているところもある。また、総務省の調査によると、保健・医療・福祉業界のICT活用率・効果ともに産業界で最も低くなっている。


開発プログラムでは、介護事業所でICTを活用し業務効率化及び生産性を向上させた好事例を紹介する。成功の要因や受講生自身の事業所で活かせそうなポイントを習得し、ICT活用を推進できる人材へと成長させる。そして、事業所のトップダウンでICT化が進むのではなく、現場レベルの悩みや困りごとを真に解決するためにICT化を推進できる人材へと育成する。

2)プログラム開発の必要性

本事業で開発するリカレントプログラム「生産性向上・人手不足解消に資する介護人材育成プログラム」は、介護職員に外国人介護人材指導力及びICT活用・推進力を持つ多機能職業人材へと成長させるものである。

 開発プログラムにより新たな介護の担い手として期待される外国人材がスムーズに参入し、やさしい日本語による指導及びコミュニケーション活性化により外国人材の職場定着を促進する。また、ICT活用・推進力向上により外国人材に限らず日本人も負担に感じる介護記録作業を軽減し、生産性を向上させる。

 そして、「介護業界で働くすべての人が働きやすい職場で生き生きとやりがいを持って働くことで提供する介護サービスの質向上に繋がる」という好循環を生み出していく。さらに、開発プログラムを全国普及することで、介護業界の生産性向上、人材不足解消に寄与していく。

3)開発プログラムの方向性

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